「スザクのこと、好きでしょ」

「何をばかなことを」

「先輩のうそつきー」


ケラケラ笑うジノ。この体勢で言うものじゃない。俺の腹の上に馬乗りになって、言う、言葉じゃない! そっと撫でてくる、首筋のライン。鳥肌が立った。べえっと舌を出してやると、吸いついてくる舌。ただの、処理。事務的行為。

「スザクは、先輩のこと好きかな?」

「嫌いだろうな」

「ええ、なんで?」

「俺はあいつの大切な人を殺したからな」

「ふふ、面白い比喩。彼女でも寝取っちゃったのかな」

「ン、本当の・・・ことだ」


もう黙れよと、口を塞いだら喜んで入ってくる舌。欲望に忠実な人間は嫌いじゃない。口を離したら、いそいそと服のボタンを取り始める。俺は仰向けのまま、視線を窓の外へ向けた。暑い。太陽は、馬鹿みたいに輝いている。なのに、こんな薄暗い部屋で俺は何をしているのだろう。自暴自棄ではないけれど、自己嫌悪。夏のあの日に、戻りたい。