※とんでも設定ご注意。女体化ではありません。 ロロとルルーシュは、基本的に同じベッドで眠る。 弟役というのをいいことに今までロロはルルーシュのベッドに潜り込んでいたのだが、ルルーシュの記憶が戻ってからもこの習慣は続けられた。 本当の兄弟でもこの年齢になってから、一緒のベッドで寝ることなどないだろう。記憶の戻ったルルーシュはロロがさも当然というように一緒のベッドで寝ようとしたことに異議を唱えた。どうして?と首をかしげるロロにルルーシュは常識というものを語ったが。 『僕・・・今まで家族なんていなかったから・・・一人で寝るのが寂しいんだ』 そう言ったロロの言葉に、ルルーシュはあっさりと落とされたのである。偽りと言ってもロロのことを本当の弟のように扱っているルルーシュにとって、今までロロの過ごしてきた孤独な時間を考えると切なくてしょうがないのだ。いいだろう!さあ早く寝よう!と涙ながらに自分の横の空いたスペースを叩くルルーシュにロロは陰でニヤリと笑った。身内にはとことん弱いルルーシュを演技で騙したロロは、それから堂々とルルーシュと一緒に眠ることになった。時には不安になったふりをしてルルーシュに抱きつき、ルルーシュはそれを計算された行動だと知らずに受け止める。生理現象を装ってルルーシュの身体を毎日少しずつ悪戯する。エスカレートする悪戯に戸惑うルルーシュをうまいこと丸めこみ、今や週に2度は身体を繋げるようになった。他から見れば明らかにルルーシュは騙されているのだが本人は全くそれに気づいていない。悲しかな、それを指摘できる人物は今のところ存在しないのである。その行為を邪魔しようものならロロの隠しナイフが飛んでくるのが必至なのだ。ロロとルルーシュが危ない道を歩き始めたことに気づいたヴィレッタがそれとなく、そういうことはやってはいけないことだと言ったのだが、ロロが笑顔でナイフをチラつかせたことでその警告はすぐに取り消された。兎の皮を被った狼に食べられてしまうルルーシュをヴィレッタは明日は我が身と見て見ぬふりをする。おかげで、地下施設内でのロロのルルーシュに対する過ぎたスキンシップも構成員達は冷や汗を流しながら見てるしかないのだ。ロロは兄との時間を邪魔されない状況に満足し、ルルーシュはたまにロロとの行為に疑問を持ちつつも流されるまま日を送っていた。とある満月の日、ロロとルルーシュはこの日も同じように一緒のベッドで寝ていた。ロロが演技ではない本当の胸に走る痛みを訴えたので、ルルーシュは心配してその日は早めに寝ることにしたのだ。ルルーシュはロロの頭を抱えるように、ロロもルルーシュの胸に縋りつくように抱き合って眠る。二人が完全に寝静まったあと、部屋にミシミシという怪しい音が響いていた。 息苦しい。ルルーシュは、自分の身体に圧し掛かっている何かの息苦しさに目を覚ました。閉じられていた瞼がゆっくり開かれる。まっさきに飛び込んできた水色は、ロロのパジャマの色だ。外で小鳥のさえずりが聞こえ、もう朝なのかと霧がかった思考を覚まさせる。パチパチと何度か瞬きをして、そこでやっとルルーシュは自分の肩と腰を掴んでいる腕の存在に気づいた。そういえば昨日はロロの体調が良くないようだったから一緒に寝たのだったなと思い出し、回されたそれがロロのものだと理解する。だがしかし、全体を圧迫されるような腕の回され方にルルーシュは疑問を持った。抱えられるように回された腕が、いつもより大きい気がする。それに、抱えられると言ってもロロの身体じゃルルーシュの身体全体を抱くことはできない。でもパジャマは確かにロロが着ていたものだし、ただの気のせいなのだろうか。ルルーシュは手探りでロロの胴体を見つけ、背中に手を回してみる。・・・やはりおかしい。骨格がロロのものではないのだ。何故だろうと思いルルーシュが顔を上げると、目に映ったロロの顔に愕然とした。 「なっ・・・!」 「ん・・・・・・兄さん・・・?」 ルルーシュがロロの腕から抜け出すように起き上がる。ギシリとスプリングが軋み、揺れたベッドにロロが寝ぼけた声を漏らす。ううんと唸り声をあげてロロが目を覚ます。ロロが寝起きの視線でルルーシュを捉える。いつもより声が低いように聞こえるが、風邪をひいてしまったのだろうかとロロは思う。ルルーシュは言葉にならないというように口をパクパクさせていた。ロロは、自分を凝視するルルーシュの表情に首を傾げながら起きた。のっそりと起き上ったロロの身体に、ルルーシュがヒッと引き攣る。ロロから離れるようにベッドの端に寄り布団をかき抱くルルーシュにロロは寝ぼけ眼を擦りながら聞いた。 「どうしたの兄さん・・・あぁ、もう朝なんだね・・・」 「お前・・・ロロ・・・か・・・?」 「なに言ってるのさ、兄さん寝ぼけてる?」 「だってお前・・・!」 ルルーシュの指が恐る恐るロロを指す。ルルーシュが何を言いたいのか全く分からず、ロロは疑問に思いながらもルルーシュの指の先を眼で追う。指先から点線でぴっぱったようにロロの目が、ルルーシュの指す方へ向く。ルルーシュの指はロロの身体のちょうど胸板を指していて、ロロがそこを見ると寝る前は止めていたはずのパジャマのボタンがすべて取れていた。 「あれ?」 外れてしまったのなら分かるが、ボタン自体が全て取れてしまっているのだ。ボタンがないせいでパジャマの前が開かれてロロの胸板が丸見えになる。ひっかけてしまったのだろうかとロロはパジャマの前を閉じようとしたがそれはできなかった。布が、届かないのだ。どうして?と思うと同時にロロは自分の腕が視界に入った。手首まであったパジャマの裾が、肘あたりにまで縮んでいる。しかも苦しくないようにある程度余裕をもったサイズだったのに、パジャマの布はぴったりとロロの体にフィットしていた。パジャマが縮んでしまったというにはおかしい。だって寝る前は普通の状態だったのだ。いやまて、パジャマの前に。 (どうして僕は兄さんのこと見下ろしてるの・・・?) ルルーシュの顔が下に見えるのだ。いつもならルルーシュの顔を見上げる立場なのに、今日はルルーシュの綺麗な顔を見下ろしている。ロロが何かの上に座っているわけではないし、ルルーシュが下がって座っているわけでもない。二人とも同じベッドの上で上半身を起こした状態だというのに。何かがおかしいとロロが気づいた瞬間、壁にかかっていた鏡が偶然目に入りロロは鏡に映った自分の姿に目を見開いた。 「な、なにこれ・・・!!!??」 しっかりとした骨格、うなじが隠れるまで伸びた髪、すっと伸びる長い手足。幼かった頬の肉が若干取れ、ぱっちりと大きかった目も少し細くなっていて、大人びた顔つきになっている。そして太くなった喉の皮膚の下から覗く喉仏。一緒の鏡に映るルルーシュの身体を比べるように見てみると、明らかにロロの身体のほうが大きい。パジャマが縮んだのではなく、ロロの身体が大きくなっていたのだ。 「に、兄さんこれどういうこと!?」 「そんなのこっちが聞きたい!お前本当にロロなのか!?」 「僕だよ兄さん!」 突然成長してしまった自分の身体が信じられずロロがルルーシュに縋るが、ルルーシュにだって何故こんなことになってしまったのか分からない。それより、成長したロロの身体が自分より大きいことにルルーシュは威圧感を感じていた。ロロがルルーシュの肩を掴んで揺さぶる。いつもなら大した威力を持たなかったその行為も今のロロの身体では違った。がっくんがっくんと首が揺れ、言葉を返そうにも舌を噛みそうで口が開けない。 「お、落ち着けロロ!」 ルルーシュがロロの額をぺチンと叩いたことで揺さぶりがおさまる。寝起きでいきなり騒ぐものだから二人して疲れてしまい、乱れてしまった息をととのえた。ロロは未だに何が起こったのかうまく理解できていないようだ。とりあえず目の前にいる人物が本物のロロだということを信じ、ルルーシュはベッドの端からロロの傍までベッドの上を移動した。ルルーシュは、成長したロロの顔をみて思わず飛び起きてしまったのだが、こうして冷静に見てみると大人の顔をしてるがロロの雰囲気は残っている。 「だって、だって僕・・・、・・・っ!」 ロロが情けない顔でルルーシュの顔を見て、ロロの動き止まった。言葉とともにピタリと動かなくなってしまったロロにルルーシュは心配そうにロロの身体に触れた。少し揺らしてみるが反応がない。少し目を見開いた状態でロロはじっとルルーシュの顔を見ている。ルルーシュを見つめるにつれロロの頬が薄い紅に染まる。ルルーシュは気付いていないようだが、今はロロのほうが身長が高いのだ。ロロが見下ろす、ということはルルーシュは見上げることになる。ロロは初めて見たルルーシュの上目使いの視線に、見事にノックアウトされたのだった。ロロが下から見上げたら、いつも優しく微笑みかけてくれたルルーシュ。でも今はロロを心配するような瞳で、しかも体に触れながらロロを見上げている。いつだったか、すれ違う学生が「上目使いほど破壊力のあるものはねえよ」と言っていた。その言葉を聞いて、下から見上げるのがいいのに何を言っているのだろうと思った。ただ単にロロは、身長的にルルーシュに上目使いで見られたことがなかったのでそう思ったのだが、こうして見上げられてみるとあの学生の言葉は正しいと分かった。首のところが広く開いたルルーシュのパジャマに目が行く。 「ロロ?」 ちらちらと白い肌を見せられたうえ上目使いで名前を呼ばれたりなんかしたら・・・。ロロは不安そうな表情だけ崩さないようにして心の中だけで小悪魔のような笑みを浮かべた。これは別にルルーシュの姿に煽られたわけじゃない、男性ならしょうがない朝の生理現象が感覚を手伝っただけだと、熱を持ち始めた自分の股間を誤魔化した。 「どうしよう兄さん・・・僕・・・なんでこんなことになっちゃったんだろう・・・」 しょんぼりとした"演技"をしてロロが項垂れる。ロロは身体が大きくなったことに対しては、最初は驚いたが正直嬉しかったりもした。どうしても越えられない年齢の壁というものが今までロロを悩ませてきた。いくらロロのほうが力が強かろうが、ルルーシュのほうが身長は高い。何故もっと身長が伸びないのだろうと、長身のクラスメイトを見て何度もため息をついた。だが今はどうだろう、こうやってルルーシュを見下ろせるほど身体は大きくなった。この身体ならルルーシュを守れる、ルルーシュを抱きしめることができる。抱くことだって今までよりも楽に・・・。そんな邪なことを考えていたら股間のものがズクンと疼いた。下品な想像で膨らましてしまったそれを隠すように、ロロは身体を前のめりにさせ額に手を当てて自分を落ち着かせた。ルルーシュを盗み見れば、ルルーシュは額を押さえだしたロロを心配しているようだ。 「ロロ?頭が痛いのか?」 まさかどこか体の具合でも悪いのだろうかとルルーシュは焦った。突然こんなに変化してしまったのだ、身体になにか不調が出てもおかしくない。医者に行く、いや医者に行ったとしても原因なんて分かるものか。何故こうなってしまったのかは分からないが、恐らくロロの持つギアスと何かが関係しているのではないかとルルーシュは思った。それしか原因が思いつかないのだ。人の理から外れることになるギアスという力は、身体にどんな影響を与えるか分からない。 「そうだ、C.C.に連絡を」 C.C.なら何か分かるかもしれないとルルーシュはサイドボードにあった携帯に手を伸ばした。だがしかし、その手はロロによって阻まれた。手首を掴まれ、ぐいと引っ張られ抵抗する力もなくロロの胸に抱かれる。ぬいぐるみを抱くようにすっぽりとロロの腕の中に仕舞われてしまったルルーシュは、首を反らしてロロを見る。 「ど、どうした?どこか具合でも悪いのか?やっぱりC.C.に連絡して・・・」 「ごめん兄さん、僕、我慢できない」 「へ?」 ルルーシュの首筋にロロが唇を寄せる。なめらかなその肌に吸いつけば簡単に赤い痕がついた。一度だけならまだしもロロは何度も唇を寄せ、音を立てながらルルーシュに肌に吸いついた。 「ロロッ・・・お前・・・っ!」 がっちり捕まえられてしまい腕から逃げ出すことのできないルルーシュは抗議の声を上げるが、ロロには届いていないようだ。ちゅ、ちゅ、と恥ずかしい音が耳のすぐそばで聞こえ身体を震わす。そのうちロロの唇が開いて、ルルーシュの肌を甘噛みし始めた。普通にしていればなんてことのない刺激だが、先ほどからルルーシュの臀部辺りに当たる固いモノにルルーシュは顔を真っ赤にさせた。一心不乱にルルーシュに噛みつくロロを止めようと、閉じ込められた腕の中でルルーシュはもがいた。 「お前、こんな時に何やってるんだっ!」 「だってせっかく大きくなったから・・・」 「せっかく、じゃないだろう!原因も分かってないのに」 「うん。でも一回くらいする時間はあるでしょう?」 天使のような笑みを浮かべながらロロはルルーシュの下半身に手をかけた。まさか本気なのかとルルーシュは逃げ出そうとするが、もちろん叶わない。窓の外に止まっていた小鳥達も飛び立ってしまうような大声を上げ、ルルーシュはベッドに押し倒された。馬乗りにされて本格的に逃げられなくなる。こういう行為は何度かしてきたが今までこんな風に無理にされたりしたことになかったルルーシュは、涙目でロロを見つめる。そんな目をしても煽るだけだというのにルルーシュは分かっていない。ロロは激しく動いたら破れてしまいそうなサイズの合わないパジャマの上着を脱ぎ捨てた。そして下半身の不自然な膨らみを指差し、ルルーシュに言った。 「それに、こっちのサイズも確認してみたいんだ」 そんな言い方どこで覚えてきたのだと、ルルーシュは服を脱がされながら思った。 . . . 「それで、まんまと食われてしまったというわけかお前は」 「俺だって好きだやったんじゃない。あれは状況が悪かっただけで・・・」 「今更よく言う、今までだって何度もしてきたのだろう?私は偏見は持ってないから安心しろ」 「だから勘違いをするな!」 そばにあったチーズ君をルルーシュはC.C.目がけて投げつけた。華麗な手つきでそれは見事にキャッチされてしまったが。ここはゼロの私室で、ルルーシュはあの後もう一回と言ってきたロロを何とか抑え込み黒の騎士団へと連れてきた。本当はC.C.を呼びたかったのだが、C.C.を不用心に出歩かせるとろくなことがないと経験していたので自らC.C.がいるゼロの私室へと向かったのだ。誰にも見られないよう専用の出入り口からゼロの私室へ向かうのは大変だったが、ルルーシュの部屋から出掛けるのにもまた大変だった。服が、成長したロロが着れる服がなかったのだ。以前にロロが来ていた服はもちろん、ルルーシュの服でさえ手足や肩周りの長さが足りなかった。裸で出かけるわけにもいかないし、悩んだ結果ルルーシュはアッシュフォード学園から予備の制服を一着借りることにした。朝早くから学校へ向かい、適当な教師にギアスをかけて制服を借りる。体操服でもいいかと思ったが、さすが体操服で学校外を出歩くのは目立ちすぎる。制服なら上着を脱げばワイシャツ姿になれるし、アッシュフォード学園の男子生徒制服はそんなに目立たない。ただ、急だったのでロロにちょうどぴったり合うサイズがなかった。少しだけ手足の長さが足りない制服を着たロロを見て、完璧主義のルルーシュはしょうがないと言ってキャッシュカードを手に持ってロロとクラブハウスを出た。ロロは学校をサボってルルーシュと出かけるなんてデートみたいだと嬉しく思ったがそれもすぐに取り消されることとなる。まっすぐ黒の騎士団のアジトへ行くのかと思いきや、ルルーシュはショッピングモール行きの電車の切符を買った。 「兄さん、どこかに寄るの?」 「ああ」 きっとロロの身体の成長に何か関係することなのだろうとロロは大人しくルルーシュについていったが、電車を降り、ショッピングモールのゲートをぐぐり、ロロが連れてこられたのは男性向けの洋服屋だった。高級そうなその洋服屋に戸惑うロロの手を引きルルーシュは店に入ると、店員を呼んだ。 「こいつに合う服を持ってきてくれ」 そこからロロの着せ替え人形状態が始まった。 「これなんかいいんじゃないか?」 「兄さん、これ高いんじゃ・・・」 「着るものくらいちゃんとしないといけないだろ」 ほら次はこれを着てみろ、と楽しそうに言うルルーシュの手にはカジュアルなポロシャツとデニムが一枚。店員の持ってきた洋服をさらにルルーシュが選びロロに試着させる。どれもセンスもデザインもいい服ばかりでやはりルルーシュはそういうところも才能があるのかと感心してしまったロロだが、これだけ格好に拘るのならゼロの仮面や衣装も、もっとましなものにすればいいのにと心の中で思った。そんなこととはつゆ知らず、ルルーシュは意気揚揚と服を選んでいる。それを横目にロロは渡された服を持って試着室のカーテンを閉めた。服についた値札はどれも桁数が多い。そこらへんの大型ショッピングセンターで売ってる安物でいいのに、そう思いながらもルルーシュが自分のために選んでくれたということがロロは嬉しく思う。 「兄さん、どう?」 「うん、似合ってるよ。それも買おうか」 「えっ!これも買うの?もうたくさん買ったから大丈夫だよ」 「いいから、ほらそれ脱いでこっちに渡せ。このあと美容室にも行くからな」 結局ロロはその店で計12着の服を買い、そのあと宣言通り名の知れた美容室へと連れて行かれた。入ってすぐに美人の女性美容師に引き渡され、あれよこれよという間にロロの髪は以前のようなヘアースタイルに整えられていた。髪まで伸びてしまってうっとおしいと思っていたから助かったが、まさか美容室にまで連れてしかれるとは思っていなかった。さっぱりした髪で出てきたロロを見てルルーシュは背伸びし、笑顔でロロの頭を撫でた。 「やっぱりお前はその髪型のほうが似合うよ」 「ほんとに?変じゃない?」 「変じゃないさ、すごく、かっこいい・・・」 ほう、とした表情でルルーシュがロロを見上げている。そしてハッと口を押さえる、無意識のうちに出てきてしまった言葉にルルーシュは頬が赤くなるのが分かった。微かに染まっているルルーシュの頬に、ロロもまた赤くなる。なんだか照れくさいような空気が二人の間に流れ始めた。ルルーシュは、成長したロロが予想以上にかっこいいことに戸惑っていた。これでも皇族出身で目は肥えてるほうだ。ちょっとやそっとの美形じゃ動揺しないと思っていたが、髪を切って出てきたロロの姿にルルーシュはドキッとしてしまった。子犬のように可愛らしく自分に懐いてくれていたロロが、成長してからは可愛いというよりかっこよく見えるのだ。頼りがいのある体格、優しげな顔。以前のロロが子犬なら今のロロは成犬だ。自分は決して面食いなんかじゃないと思っても、ロロと視線が合うと恥ずかしいような気分になり照れてしまう。これじゃまるで自分がロロのことを好きみたいじゃないかとルルーシュは心臓の高鳴りを抑えた。そんなルルーシュの姿を見て、ロロは本当に可愛い人だと思わず笑みがこぼれた。真っ赤な顔を見られたくないのか俯いてしまったルルーシュに、手を差し出す。 「ねえ兄さん、手つないでもいい・・・?」 「・・・ああ」 おずおずとロロの手に触れたルルーシュの小さい手をロロはぎゅっと握った。温かい体温が掌に伝わる。ルルーシュは、わざと声を大きくし靴屋も見に行こうと言って歩き出した。照れ隠しのような行動に掴む手の力が強くなる。こうやって手をつないで歩いていると、まるで恋人同士のようだ。きっと周りからは兄弟か何かかと思われているだろうが、それでもよかった。 「兄さんの手あったかいね」 なんだかんだ買い物をして、昼食を取り、ルルーシュ達がアジトへと着いたのは午後2時ごろだった。両手にたくさんの荷物を抱えてアジトへ来たルルーシュ達をC.C.は一体何なんだというように出迎えた。クラブハウスを出る前に連絡を受けたC.C.は律儀にゼロの私室で待っていたが、何時間経ってもこないルルーシュに機嫌が急降下していくのが分かった。やっと来たルルーシュ達に冷たい罵声の一つでも浴びせてやろうかと思ったのだが幸せそうな顔でルルーシュが来たものだからC.C.は何も言えなくなってしまった。ルルーシュは買った物をロロに渡し、隣の部屋で着替えてこいと言った。ロロが名残惜しそうに部屋を出て行き、今この部屋にはルルーシュとC.C.の二人しかいない。 「それで、ロロのあの成長について何か知らないか?」 「いや、ギアスの副作用にしても私はあんな例見たことないな」 「考えられる原因はギアスしかないんだ、調べてくれないか」 「全くしょうがないやつだな、確か文献がどこかにあったはずなのだが・・・何処へやったかな?」 あれでもないこれでもないと本棚を漁るC.C.。文献があるなら先に言え、とルルーシュも本を探し始めた。ぽいぽいと本を無造作に出していくC.C.に怒りながらも、緑の表紙と教えられたタイトルの文字を探すルルーシュ。だがいくら探してもその本は見つからなかった。 「おかしいな、確かにあったはずなのだが・・・奥の本棚か?ちょっと見てくる」 「ああ、分かった」 C.C.は部屋の奥にあるもう一つの本棚へと行った。奥の本棚はこの本棚よりも重要な本がしまってある場所だ。ギアスに関する本ならそこにしまってあってもおかしくはない。見逃しはないだろうか?とルルーシュが本棚を見渡していると、部屋の扉が開いた。 「兄さん、着替えてきたよ」 ロロが着替え終わったようで、着ていた制服を片手に部屋に入ってきた。何着も買ったせいで迷ってしまったが、ロロが選んだのはルルーシュが一番最初に選んだ服だった。カジュアルでラフだが、だらけた印象を与えない服。いくつか買ったアクセサリーも、小さなネックレスを1つだけつけているようだ。 「よく似合ってるよ。ロロ、疲れただろう?座って待ってろ」 「でも僕のことについて調べてくれてるんでしょ?手伝うよ」 「本を探してるだけだから大丈夫だよ、あとはC.C.が調べてくれる。ほら、座ってろ」 渋るロロを無理やりソファに座らせ、ルルーシュは再び本棚を見渡した。C.C.に見つかったかと聞くと無言の返事が返ってきた。まだ見つかっていないようだ。本当にここにあるのだろうかと、C.C.の勘違いじゃないだろうかと疑いながらルルーシュが何気に本棚の一番上の段を見た。そこはさっきも見たからないなと思いながらも本の背表紙を流し見る。すると、本棚の端のほうでルルーシュの目が止まった。あった。 (派手な色の本に挟まれてたから見落としたか・・・) ルルーシュの想像していた緑とは違う緑の本がそこにはあった。緑だというからてっきり木の葉のような明るい緑なのかと思ったが、その本は深緑と言ったほうがいいような暗い色の本だった。厚い本と本の間に挟まれていたため、さっき見たときは見えなかったのだ。タイトルも合ってるし、きっとこれだろうとルルーシュが本に手を伸ばす。 「くっ・・・!」 ルルーシュの指がかろうじて触れるだけで、本に手が届かなかった。頑張って背伸びしてみるがどうしても届かない。なんで本棚をこんなに高くしたんだ!と自分で設計した部屋に文句をつけながら梯子を探す。確か上段の本を取る時のために梯子がいつもそばに立てかけられていたはずなのだが、見当たらない。なんでこんな時にと舌打ちをして再び手を伸ばす。もしかしたら取れるかもという期待を込めて手を伸ばす。 「うっ・・・くぅ・・・」 あともうちょっと、あと数センチ足りれば本が掴めるのに。どうしてこう、ちょうどよく届かないのだろう。唸りながら半ば自棄になって片足で跳ねる。諦めて椅子を持ってこようかと思ったとき、横から伸びてきた手が本をスッと取った。 「はい、兄さん」 伸びてきた手はロロのものだった。さっきまでソファに座ってたロロは、ルルーシュの頑張る姿を見かけて代わりに本を取ったのだ。自分が届かなかった場所にあった本をあっさり取られてルルーシュはちょっと悔しかったが、ロロの行動に少しキュンときてしまっていた。自分ができないことをあっさりとやってのけたロロが、本当にかっこよく見える。ルルーシュは基本的に自分より才能のある人物が好きだった。もちろん絶対に自分より上じゃなくては嫌だということはないが、人間的にタイプの人といえば自分が尊敬できる人物だと思うのだ。そしてまさに今、ロロはルルーシュができなかったことをやってみせた。 「ロロ・・・あ、ありがとう・・・」 顔が熱くなるのを必死で抑える。弟にこんな感情いけないと思いながらも、目の前のロロがかっこよく見えてしょうがない。いけない、ロロは弟なんだ、そりゃあそれなりの行為はしたことはあるがあれはあくまでロロの欲求処理のためだけであって、別に特にそういう感情があるわけではないのだ。そう自分に言い聞かせるように、ルルーシュはロロから受け取った本を胸に抱いた。 (兄さん可愛いなぁ・・・) 恋する女性のようにもじもじと落ち着きなく視線を泳がすルルーシュにロロはどうしようもなく愛しい気持ちが湧き上がってくるのが分かった。成長した自分の容姿は、自分でいうのもなんだが結構美形だと思う。いつもならルルーシュと街を歩くと通行人は美人のルルーシュのほうばかり注目していたのだが、今日は二人して通行人の視線を集めた。美形な二人が並んで歩いているのだ、人々の目が行ってしまうのも分かる。すれ違った女性達がロロのほうを見てから小さく黄色い声を上げた時、ルルーシュがロロを見た。その目は嫉妬の目で、その嫉妬は「俺がいるのに女にモテるなんて」と言っているような気がしてロロは舞い上がるほど嬉しかった。ルルーシュは無自覚でロロのことを見てしまったのだろうが、ロロにはルルーシュが自分のことを気にかけてくれているということだけで嬉しいのだ。身体は落した自信がある。あとは心だけ。ルルーシュはなかなか鈍感で手に入れるのは難しいだろうと思っていたが、この身体なら意外とルルーシュを手に入れることもあともう少しかもしれない。 (好き、大好きだよ兄さん) ロロはルルーシュがこっちを見てくれるまで、じっとルルーシュを見つめ続けた。 「おいルルーシュ、見つかったの・・・か・・・」 急に止んだ物音にC.C.が顔を覗かせる。そして目に映った光景に、呆れたというような溜息を一つ。甘い雰囲気を垂れ流す二人に、勝手にやっていろとC.C.は奥の本棚へとまた戻った。今自分が出て行ったら雰囲気を壊すだけだろう、と。ロロのあの状態がいつまで続くかは調べてみないと分からないが、ルルーシュのあの表情を見てしまった以上ロロは戻らないほうがいいのではないかと思ってしまった。 ---------------------- 高いとこにある本が取れなくて困ってるルルーシュをロロがかっこよく助けるっていう部分が書きたかっただけです。 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