夏の暑い日。

ミンミンと鳴くセミが僕は嫌いだった。五月蠅いし、気持ち悪いし、それに。

スザクは、僕に嫌がらせをするように、セミをたくさん採ってきては僕に見せてきた。

一匹や二匹なら我慢できる。

でも、虫かごいっぱいのそれを見せられた時、僕は泣いてしまった。

とても悲しくて、とても悔しくて、僕は泣いた。

わんわん泣いた僕に驚いて、どうしようと焦ったスザクは、同じように泣いた。

スザクは、僕が泣いた理由を分かっているのだろうか。僕はセミが気持ち悪くて泣いたわけではない。

セミの命が短いことを僕は知っていた。

頑張って、生きて、でも、生物上でどうしても、力で、敵うことのない、僕ら、人間に、掴まってしまって、それで、見世物にされて、短い一生の、時間を、僕たちは、奪っているのだ。

僕は、無力な人間であり、力をもつ人間である。

だから僕らは、決して、その力を振りかざして命を奪ってはいけないのだ。

僕達が死ぬ、あの日までは、そう思っていた。



ねえ、セミの泣き声って、産声に似てるよ。