「ゆっくり息を吐いて!そう、そうですよ!」

そのくらい分かってるわ、でも痛みを和らげるには声で発散するしかないのよ。あああ、どうしてこんなにも痛いの?痛いのは分かっていたけれど、こんなに痛いなんて思わなかったわ。でも我慢、しなくちゃいけないのよね。そうよね、シャルル。ほんと、私って不幸な女かもしれない。フツウはこういう時、夫は隣で手を握るものよ?彼は今どこに居るかしらって考えて、この時間だと演説かしらなんて冷静な頭の隅で。痛い!痛い!ちゃんと出てきているの?自分じゃ確認できないから分からないわ。ちょっと、あんた、そう、あんたよ。私の股に手を突っ込んでる、そこの医者!ちゃんと出てきてるの?もう少しもう少しって、何回言ってるの?早くしなさい!私が苦しいじゃないの!ああもうじれったい。こんなことなら、お腹開いちゃえばよかったわ。でも皮膚に傷が残るのは嫌。戦い以外で傷は作りたくない。ちょっとした、私の母親の理想像。素敵じゃない?あっ!痛い!・・・あれ?産声?

「おめでとうございます!生まれましたよ!」

ああ、そう。生まれたの。へえ、なんか、痛かったばっかりね。数人の看護師が何かを抱えて何かをしている。へその緒?なんの処理?いいから私に見せてよ。私が口をパクパクしたら、ようやく分かったみたい。

「ほら、元気な男の子ですよ。マリアンヌ様」

差し出された赤子、これが私の子供?何かを求める様に、手を上にあげて泣いている。雄叫びのような泣き声と、まるで光を掴もうとしているような手の動き。目はまだ開かないのね。生まれてきたことが嬉しいのかしら?そんなに泣いちゃって。頭を撫でる、薄い毛髪。黒い髪の毛は私のが遺伝したのね、よくできました。名前はもうね、決めてあるの。

「ルルーシュ・・・」

これからの私達の世界のために生まれてきた、可哀想な子。私達の子供に産んでごめんね。でも生まれたからには、頑張ってね。それにしても。

生まれたばかりの子供って、汚いわね。